June bride 3

☆June bride・3☆


食堂から一旦部屋に戻り、悟空の提案で4人でポーカを始めて30分経った頃

「ほら、次は悟浄の番だぞ。早く出せよ。」
今日は何故か勝ち続けてる悟空が、カードを見ているのいないのか、左手に持ったライターをいじりながら、何時までもぼ~としている悟浄に催促した。

「あ、あぁ~わりぃ、そんなに急かすなって」
急いで、手持ちのカードから1枚捨てて、新しいのを引いた。
その手持ちのカードを見て、顔色を変えもう一回、捨てたカードを見て
『しまった!!』
間違えたと、心の中で叫んでいた。

「おや?悟浄、どうかしたんですか。」
めざとい八戒は、悟浄が顔色を変えたのを見て聞いてきた。
なるべく平気な顔をして缶ビールを飲んでいた悟浄だか、八戒の言葉でビールを吐き出してしまいごほっ!ごほっ!とむせ返った。

「うわぁ!!悟浄、きたねぇな。」

「うっ・・ごほっ!ごほっ!・・・うるせぇ!!もとわと言えば猿が急かせるからじゃねか!!」

「悟浄、急いでタオルで拭いてください。しみになちゃいますよ。」
バックからタオルを出してきて、悟浄にタオルを投げた。

「わりぃ!!サンキュウ八戒。」
タオルを受け取り汚れてしまった床を拭いた。

「ふぅ~、何か調子がでねぇ。なぁ、八戒・・・・」
そう今回は調子の悪い三蔵と悟浄だったが、その代わり八戒と珍しく悟空が勝っていた。

「何ですか?まだあれから30分しか経ってませんけど。」
禁煙から30分、悟浄にしては良く持った方だと思うが

「ふっ!もうギブアップか?随分と早いじゃねぇか。」
同じく禁煙させられている三蔵が、皮肉たっぷりに言った。

「なんだと!!そう言う三蔵だってさっきから、ヤニ切れで苛立ってるんじゃねぇか。」
無意識に何時もは、懐や袖の下に持ってるタバコを探しているのを目ざとく見ていたらしい。

「貴様と一緒にするな。」

「2人とも苛立っているのは解りますが、夜中に騒ぎを起こさないでくださいね。」
睨み合ってる2人に、八戒が忠告した。

前に一度妖怪が襲って来て騒ぎになり、結局4人は宿に居られなくなって野宿することになったことがあった。
今回は状況は違っていても、また騒ぎになれば宿に居られなくなるだろう。

「おやおや、悟空。眠そうですねこんな所で寝たら風引いてしまいますよ。」
1人静かだと思って悟空を見てみると、さっきから眠いのかうとうとし始めていた。

「う~~~ん、まだ、だいじょぅ・・・・ぐぅzzzzz。」
目をこすりながらぼんやりと話していたけど、とうとう本格的に悟空は寝てしまった。

「仕方ありませんね、ちょっと悟空をあっちのベットに寝かせてきます。」
そう言ってわざと2人のたばこをテーブルに置き、寝てしまった悟空をだっこして
部屋から出て行ってしまった。

2人が出て行きすることが無くなった三蔵は、新しいビールを持ってベットに座って夕方読んでいた新聞を読み始めた。

「三蔵、ついでだからここのお風呂使わせてもらうぞ。」
悟浄も何もすることがないので、一様三蔵にことわりここの部屋のお風呂を使わせてもらうことにして、新しいタオルとついでにさっきビールをこぼして拭いたタオルを持って、脱衣所の入り口で悟浄が振り返り

「何なら三蔵も一緒にお風呂入るか?」
からかった口調で言ってドアを閉めた。

八戒が出て行ってどの位時間が経ったのか、三蔵の金色の髪にふゎ~と風が通り過ぎて行った。

新聞を読むのを止めて、顔を窓の方に向けて三蔵はめがねをベットの脇の棚に置き、静かに移動た。

そして窓際にこし掛け夜風に当りビールを飲みながら、月明かりで綺麗な夜空を眺めていた。

そのうち何か物足りなさを感じて、懐に手を入れ目当ての物がないと思わず
「ちぃ!」と、舌打ちをした。

部屋の中に顔を戻し、中央のテーブルに目当ての自分のマルポロがあるのを見つけて足が自然とテーブルに向かってマルポロを持ち、また、窓際に戻りこし掛けて星を眺めていた。



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